IT新改革戦略が発表されました。

1.ITの構造改革力の追求

(1)21世紀に克服すべき社会的課題への対応
ITによる医療の構造改革 -レセプト完全オンライン化、生涯を通じた自らの健康管理-

現状と課題

e-Japan戦略IIの策定以降、医療分野の情報化については先導的7分野の一つとして重点的に取り組んできたところであるが、情報化の状況は未だ低いレベルに止まっている。例えば、レセプトのほとんどは紙で処理されているため、医療保険事務の高コスト化を招くとともに、予防医療等へのレセプトデータの活用が十分になされていない。また、電子カルテについては、医療安全の確保や医療機関間の連携等に有効であるが、普及が進んでいない状況にある。
そのため、個人情報保護及びセキュリティに配慮しつつ、導入コストの低減や奨励策の活用等により、情報化を積極的に進めていく必要がある。今後更に国民医療費の急速な伸びが予想される中、疾病の予防、医療の質の向上と効率化、医療費の適正化を図るとが緊急の課題となっている。こうした課題の解決に向け、ITの構造改革力を最大限に発揮することが必要不可欠となっている。

目標

  1. 遅くとも2011年度当初までに、レセプトの完全オンライン化により医療保険事務のコストを大幅に削減するとともに、レセプトのデータベース化とその疫学的活用により予防医療等を推進し、国民医療費を適正化する。
  2. 2010年度までに個人の健康情報を「生涯を通じて」活用できる基盤を作り、国民が自らの健康状態を把握し、健康の増進に努めることを支援する。
  3. 遠隔医療を推進し、高度な医療を含め地域における医療水準の格差を解消するとともに、地上デジタルテレビ放送等を活用し、救急時の効果的な患者指導・相談への対応を実現する。
  4. 導入目的を明確化した上で、電子カルテ等の医療情報システムの普及を推進し、医療の質の向上、医療安全の確保、医療機関間の連携等を飛躍的に促進する。
  5. 医療・健康・介護・福祉分野全般にわたり有機的かつ効果的に情報化を推進する。

実現に向けた方策

(医療におけるより効果的なコミュニケーションの実現)

  1. 山間僻地・離島等の地域における遠隔医療サービスを更に推進するため、2010年度までに、遠隔医療技術の適用対象疾患等の応用範囲を拡大するとともに、利用環境の整備を促進する。
  2. 地上デジタルテレビ放送等を活用した双方向サービス及びICカードの利用により、救急車依頼時の応急処置の指導等や、小児救急医療のための相談窓口の開設等の、受診前医療サービスを行うため、2007年度までに実証実験を行い、2010年度までに全国的な実用化を図る。