会長挨拶

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会長挨拶

会長 近藤 博史
(鳥取大学医学部附属病院医療情報部 部長、教授
総合メディア基盤センター米子サブセンター長)

 2017年6月24日の定時総会後の理事会において、原量宏前代表理事・会長の後任として代表理事・会長を拝命しました近藤博史です。森田浩之副会長、理事、監事と共に日本遠隔医療学会のために、貢献したいと思っております。

 日本遠隔医療学会は、2005年4月の発足以来13年目を迎えました。この間、原量宏前会長の下で、法人化を実現し、また会員数も増加しました。年3回の学会雑誌の発行、秋の学術大会、早春のSpring Conferenceなど、学術活動も次第に充実して参りました。これは皆様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。

本会の使命・理念は、「本会は、遠隔医療の(1)臨床的、(2)経済的、(3)社会的側面からの知見を集約し検討を加えることで、科学的エビデンスを積み上げ、地域や在宅における健康増進や医療・介護支援に貢献する。」とあります。

 現在の医療分野の種々の問題(高齢化社会、増大する医療費、医師の都市部への偏在、産婦人科・小児科・救急等リスクの高い診療科の医師数の減少、そしてその結果、全国規模での地域医療の崩壊)に対し、政府は新成長戦略で健康(医療、介護)をこれからの成長産業の大きな柱として推進しています。ICTの医療への活用は、電子カルテネットワーク、遠隔医療ネットワーク、生涯健康カルテ(EHR)など、安心・安全な医療の基盤となるものです。そこに本会の役目があり、またそれを果たしてきたと自負しております。

 私はアナログ画像の世界で放射線科医となり、最初の仕事がデジタル画像化のための画質評価でした。その後の放射線部門システム、原前会長とご一緒した診療所電子カルテネットワーク、大学病院の電子カルテ導入、衛星利用の在宅医療・災害時医療支援システム、電子カルテネットワークを構築してきました。ICTで通信される情報の質の評価から始めたことは幸運だったと思っています。伝達される情報の質・価値が重要だからです。また、HL7やIHEと言った世界標準規格、標準化の仕事を通してグローバルな視点を持つこともできました。こうした視点を本会の運営にも役立てたいと考えております。

 現在、ICTから人工知能(AI)、IoT、ビッグ・データなど新しい技術が開発され、医療は大きな変化の時代を迎えております。

 本会は、利用者、運用者、開発者そして研究者が集い、遠隔医療の学術的評価と効率的な普及を推進します。私たちの任務と責任はいっそう重いものとなっていくことと思います。今後とも、本会に多くの方々にご参加いただき、遠隔医療の発展のためにご支援とご協力賜りますようお願いいたします。

(2017年6月)