会長挨拶

Photo

会長挨拶

会長 原 量宏  
(香川大学瀬戸内研究センター 特任教授、
徳島文理大学理工学部 教授)

 日本遠隔医療学会は、2005年4月の発足以来5年目の春を迎えました。会員数も増加し、年2回の学会雑誌の発行、秋の学術総会、早春のSpring Conferenceなど、次第に体制や運営形態も整って参りましたこと、皆様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。今後も着実に遠隔医療の研究のメッカとしての活動を展開して参ります。

 昨年夏の政権交代に象徴されるように、日本も大きな変化の時代を迎えております。激動する国際情勢、厳しい経済状況や雇用情勢と共に、長年続いた医療制度改革、医療費の抑制、医学部定員の削減、新研修医制度などが複合的に作用して、医師の都市部への偏在、産婦人科、小児科、救急等リスクの高い診療科の医師数の減少、そしてその結果、全国規模での地域医療の崩壊が続いています。産婦人科医として、周産期医療が崩壊していく課程に関しては、最も身近に感じております。しかし、世界史を振り返ると、激動の時期こそは変革の時期でもあります。既成の組織、習慣、社会の枠組みを超越することにより、はじめて新しい取り組みが生まれ、その中でピンチをチャンスに生かした企業、組織、業界だけが、新生し、さらに発展してゆくことができます。

 企業、経済界はもちろん、医療、福祉、環境の各分野においても大きな変革の波がおしよせています。そのためには、単なる従来の公共投資的取り組みでなく、これらの分野にIT を積極的に導入し、社会の構造改革が必須とされています。

 政府では新成長戦略を昨年末に発表して、その中で健康(医療、介護)をこれからの成長産業の大きな柱として推進してゆくことを表明しました。その中でITへの期待は大きいものとなっています。また関係各省庁でも、厚生労働省の地域医療再生計画、総務省の地域ICT利活用など、地域に軸足を据えた活性化策を力強く推進しております。遠隔医療をはじめとするITの医療への活用は、今後、いっそう役割が大きくなります。電子カルテネットワーク、遠隔医療ネットワーク、生涯健康カルテ(EHR)を全国に普及させ、安心・安全な医療、すなわちユビキタス健康医療の実現に向かい、力強く流れが起きます。その点で、日本遠隔医療学会の任務と責任はいっそう重いものとなってゆきます。 今後とも、本学会に多くの皆様方にご参加いただき、遠隔医療の発展のためにご支援とご協力をお願いいたします。